ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【第1話】黒い砲身《ジム・キャノン》【連載01〜06まとめ】

***01*** アナハイム・グループの傘下に置かれているオールド・ハバナシティ社の逸品、最高級紙巻タバコ「ドニゼッティ」をくゆらせながら、タレゾ大尉は退屈している警備兵を相手取り雑談に打ち興じていた。タレゾ大尉はすでに老年に差し掛かってい…

【第一話】黒い砲身 06

ビーム・サーベルを斜に構えるジムIIに対して、ジム・キャノンは100mmマシンガンの銃口をゆっくりと向けた。至近距離の闘いにおいては、構える、狙う、引き金を引く、の3つのアクションを要求される銃よりも、剣の方が圧倒的に有利である。しかしなが…

【第一話】黒い砲身 05

「照準……良し。地獄の業火に苦しみ悶えるがいい!」 ――ジム・キャノンの砲身は鬨の声を上げ、フカヤ基地めがけ容赦なく突き進む無慈悲な征矢を放った! 真理に背く全ての邪悪を貫き、堕落に溺れる惰弱な魂を撃滅する、憤怒を帯びた地獄の魔弾! 「…………命中」…

【第一話】黒い砲身 04

ジャブローからも忘れ去られた田舎のフカヤ基地は、こうしてそこに詰める兵たちが一斉に外出したことで、ほとんど無人といっていいくらいに閑散としてしまった。一応門番や必要最低限の見張りは置いてあるけれども、彼らもまた居眠りをしたり愛すべき大尉を…

【第一話】黒い砲身 03

「……というわけなのだ。タレゾ大尉の額の傷には、オデュッセウスの脚の古傷とでもいったように、見るものにその武勇を思い出させずにはおかないこうした伝説的な由来があるのさ!」 「感服致しました、曹長殿。自分も早く大尉のような手柄を立て、この海と…

【第一話】黒い砲身 02

黒ジャケットの男が無人ゲートを出る。1台の軽トラが彼の前に停車した。その荷台には何か大きな荷物が積まれているが、外からその中身を知ることが出来ないようにブルーシートが被せられている。男が助手席に乗り込むと、運転手は車を即座に発進させた。広…

【第一話】黒い砲身 01

アナハイム・グループの傘下に置かれているオールド・ハバナシティ社の逸品、最高級紙巻タバコ「ドニゼッティ」をくゆらせながら、タレゾ大尉は退屈している警備兵を相手取り雑談に打ち興じていた。タレゾ大尉はすでに老年に差し掛かっていると言っても過言…