ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

3の敬神をやめないか

 敬神3つの技法を語ろう。われわれは神々に恭順であらねばならぬし、そのために適切な方法が選択されなければいけないと確信する。ドラゴンが攻めてきたらヤバいなどという泣き言を漏らすのはやめろ。全軍を率いるあの少女からしぼりとったジュースをごくごく飲み干すのはやめろ。これ以上東京の住環境を破壊するのはやめろ。よせ、これ以上神々の膝元で暴れるのはやめろ。歴史を改変しておきながらあたかも元からそうであったかのように振る舞うのはやめろ、よすがいい。ジャンルにこだわらずのびのびと能力を成長させるのはよいことだという言説が世の中に溢れかえるのはやめろ、おれの知っている曲をわざと再生してノスタルジアをコントロールするのはやめろ。ゲストの先生が困るような言葉遣いを連続して首をかしげるのはやめろ。スピーカーから流れてくる振動に合わせて体を揺するのはやめろ。経営判断というのが正論だと確信しつつやぶにらみするのはやめろ、正気を保っているふりをして狂気の振る舞いをする遊びみたいなのは絶対にするな。ハムからハムへと至る包丁さばきで注目を集めるのは卑怯だ。ギルドみたいな集まりをつくってわいわいしながら排外的な思想を育てるのはよしたほうがいい。サングラスをとったり外したりしてほほえむのはよくないと思う。本棚の奥にこもって死んでいく虫のことを悪く言うのはやめろ。カレンダーの数字を組み合わせて意味ありげな語呂合わせをするのは人を怒らせるやり方だ。引き出しを開けたり閉めたりしてリズムを刻んで音楽を気取るのはあまり賢いスタイルとは言えない。原作のゲームをプレイしないくせにアニメだけを見て作品を批評する人間を寛大な心で許すだの許さないだのといった空中戦を三年以上続けて心身とともに疲弊させるのはやめろ。イケメンとかイケメンじゃないとかいう価値基準のなかに突然ブタメンだとかその他のノイズを挟み込むのは混乱を招くからやめろ。マンハッタンの流儀とかいう用語を振り回すのはやめろ。サイコロを頃がして一日の指針を決定するのはなかなかいい。パンフレットをあえて複数枚もらってあとで捨ててしまうのはなにか意味があるのかという彼らの邪推を招くからやめろ。酒ビンを捨てずに放っておくことで空間をゆがめて喜ぶのはやめろ。若い男に老いをもたらしてざまあみろと叫ぶ神々の笑いを理解するのはやめろ。布でモニタを拭きながら刺身の話をするのはやめろ。