ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

秋に思うは老いや死や病気のこと

今週のお題「秋の気配」

 許せというのなら許すが、死ねというのなら死にもしようという覚悟を見せるだけでそのような笑みを浮かべるしたたかさを持ち合わせた女どもを俺が許すとでも思っているのか。槍の鋭さに気がついた土人のように驚いてやろうか、そうすればあの狂ったように喧嘩してる夜の猫だっておとなしく食卓につくための不思議な秘術を教えてやったっていいんだ。その秘伝は決して一人のためのものではなく、万人に流布されることによってその真価を発揮するウイルスのような技術だから。ウイルスといえば風邪をひいたときの対処法を誰か俺に教えてくれないか。風邪が辛くてたまらない特に毎年八月から九月にかけて風邪をひいてしまうんだ。風邪のときは熱が出るけれども、熱を出したら不思議な幻覚がたくさん見えるから面白い。この間見た幻覚は、自分の肉体が人間のものになっていたという幻覚だ。俺はもとから人間なのに、なぜか他の本来の肉体から人間の肉体になってしまったという強烈な違和感を感じさせられた幻覚だった。あの体験は実に素晴らしい、だって人間である自分をこの上なく客観的な条件で観察することが出来たんだからな、そもそも人間の肉体ほど奇妙なものは無いよ、この細くて長い変な色の手足はどうだい、神々の美から遠く隔たったこの妙なバランスの目、鼻、口の配置はなんだい、たまらなくおかしいや。