ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

タイミング

 感情というものを忘れた私たちの愛を知ってくれ、感情は無くとも愛はある。ロボットにも確かに電気信号が走っているけれども、人間には確かに愛の信号が走っているに違いないよ。ああ素敵な気分だねえジョニー、愛しのジョナサン、ブラボー、これだからジンはたまらなく美味、グレイト、ヨコハマ、ナイト。浜の風が私たちの頬を優しくなでるじゃないの。この暗闇に楽しい光とネオン、歌は朝まで続くけだるい毛布のぬくもり、おばあちゃんが背中をなでる、ガサツな野良仕事の手が愛を帯びて。そらトンボが一匹街を飛ぶとき、私は思う幼少期の完全さを、恋愛においてもっとも充実しているあの神々の期間を。人間というものは恋愛を知ると同時に恋愛の神々から嫌われてしまう哀れな存在。そうだろう、恋愛のれの字も知らない時に経験する異性との不思議な原始的接触こそがもっとも甘美で強烈な感情のゆさぶりをもたらし、生命の力を増幅させるものじゃないか。恋愛というのは子供たちに用意された生の賛歌であって、老いた成人はそこから既に除外されているものなのだ。どうもここのところを勘違いしているような種族が多すぎてたまらないよ。子供たちは大いに恋愛をするといい、そのみずみずしい吐息と陶器のようにつややかな柔肌で、生命創り出す神秘の業を競うがいい。謙虚の徳を知る成人たちはそれをおとなしく見ていよう、そして昔を偲びひたすらに余生の辛さに耐えるためのなぐさみを得ようじゃないか。もうあなたたちの時代はとうに過ぎてしまった、異性を得るのには遅すぎる、異性を愛するには遅すぎる、異性に触れ快楽を得るのには遅すぎる。