ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

大真理探究表明

 真理の領域にようこそ。我々は諸手を挙げてあなた方を歓迎する。宇宙における第一原理としての真理探究という業に取り掛かるためには、唯一といっていい共同の作業者である人間の種族の仲間を、いくら増やしたところで多すぎるということはない。なぜなら我々は生来的に集合することでより効率のよい大きな力を発揮できる存在なのであり、真理への到達のためには他のいかなる事業よりも資源や労力を惜しんではいけないのであるから。我々はこれから同志となり運命を共にすることとなるあなた方に対して、それぞれの特性に合致した神聖なる役割を配分することにしよう。そうした後で、真理の大いなる予感、すなわち観照的な活動の喜びを語ることにしよう。そうすることで我々は、真に与えられた本来の職分を思い出すと共に(人間は忘却という機能によってその生存を可能にしている)、新たな真理の子らに送る、犯すことの出来ない祝福の凱歌をがなり立てることとなる。
 まずあなた方の中に可憐な少女がいたならば、すぐさま立ち上がってその神秘の四肢を美しく広げ、セイレーンの如き歌声もてこの記念すべき真理(ゲルタ)会談開会を祝っていただきたい。我々の真理の国家において、乙女の美は永遠に失われることのない神々のギフトであるが、そうした華美なる存在物は希有な能力を有している。すなわち浄化と祝福の能力である。真理に盲目である泥沼のような大群の中からいわば逃げ出してきたあなた方臆病の犬は、我々の国境線に足を踏み入れる前に、少女の徳によってしっかりと行水しなくてはいけいない。偉大なるこの共同体は衛生を尊び不潔を忌む。特にぶよぶよした肉の腐敗を強く嫌う。乙女の舞は感覚を蝕む悪性の菌を殺し、乙女の歌は理性を破壊する恥知らずな寄生虫を溶かし尽くすだろう。義務を終えた少女は神聖な光に包まれながら、半神の英雄にも匹敵するような名誉を得て、至福の境地で真理を観照するに違いない。
 あなた方の内少なからぬ数の者は、あるいは獅子の勇気と勇者の肉体を備えた戦士の子孫であるかもしれない。そうした者たちに我々が与える役割は、ただ精神の刃の錆を洗い落とすだけでなく、真理に対する盲目を避けるがために盲目的な忠誠と信頼を相互に築き上げる指導者の仕事である。高貴な血統と人間という野獣を紳士に変える優れた教育を授かった幸福な男たちは、常に剣を帯びて生活し、人に生命を惜しむ欲望を吹き込む恐怖という感情を、一切排する努力をしなくてはいけない。