ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

夢想の流儀1

 この僕、僭主山田、かつてのメンジャーは現在、かつて皇居と呼ばれていた場所に住んでいる。旧い住人は前体制下では不当な人権の剥奪を受けていたのだが、新しき主である僕の慈悲によって解放された。その安価な代償として、若くて器量良しの一人の娘を娶ったのであったが。かつて高度な機能を持っていた行政機構は前体制への強い忠誠を持つ構成員によってその運営を担われていたため、すぐに壊滅させた。その代わりとして、地方ごとにある程度の自治を認め、僕の手足となる地方治安官を派遣している。立法機関は僕の頭脳であり、諮問機関は僕の感覚である。司法機関は僕の機嫌であり、また行政機関は僕の才覚で担われる。

 僕が統治において最も気をつけていることは、決して僕へ敵対する勢力を大きな集団へと結集させないということである。分断して統治せよ、とは良くぞ言ったものだ。地方ごとに税や兵役、労役の待遇の差をつけて、また住民の勝手な移動を固く禁じて、国内の団結などというものは微塵も発生しない。そして密告者には褒美を取らせ、功労者には名誉を与える。名誉ほど安上がりで効果的なプレゼントは無い。ただ僕が名前を呼び、一言二言賞賛の意を示し、安価な記念物を取らせるだけでもう彼は忠誠心の修羅となる。