追いつめた怪盗!の巻
「キープ オン ランニン! イナズマスピード!急速弾丸ブルソニック!」
目を開いていられないほど眩しい青い光とともにブレスレッド型ブレッドデバイス「ソニコン」から、耳を劈く様な衝撃音が発せられる!その場に居合わせたキミ子さんはそれを聞いて後に、「耳の鼓膜が吹き飛ぶような」音であったと述懐している!
「ブンブンブォーン!ソニック唸る弾丸急行!ブルソニック様のご到着だぜぇ!」
青い光が日の入りのように消えあたりは再び暗闇に戻ったが、ほんのりと浮かび上がるような微光を、現れたブルソニックは放っていた!
「やい、ハヤテ、今日の獲物はどいつだ!モタモタしてると手遅れだぜ!ネオンネオン!」
「ブルソニック!あの鉄塔を見るんだ、あのてっぺんに怪盗モフモスが潜んでる!」
「ガッテンラッシュ!ターボガロロンハイスピードでキメてやるぜ!」
全長160cm、流線型デザインを基調とした高圧気筒ターボ搭載型弾丸装甲車である青い彼、ブルソニックは逸る闘志を抑えきれずにハヤテくんをふんづかまえて鉄塔へとブロロンダッシュするのであった!
――――
「遂に来たなハヤテにブルソニック!このモフモス様が愛機ランドッグランで相手をしよう!」
タキシード姿に怪しい白の仮面で顔を覆った怪盗は、鉄塔最上部の展望室にこれまで奪った財宝を隠していたのである!ハヤテくんたちにそれがばれてしまった今となっては、もはや手段は一つしか残されていない!すなわち、目撃者ハヤテとブルソニックの抹殺である!
「さあ、遠慮なくやれ!ランドッグラン!」
「ガウガウ!やったるケン!ワンショットキルワン!ブルブル!」
四肢駆動型のランドッグランがモフモスの背後からニュっと現れ、一瞬でブルソニックに肉薄する!
「けっ!イヌっころにゃハートフルな俺のエンジンに追いつけないだろよ!ブロロロン!」
ブルソニックもランドッグランの動きに対応して即座に後退し、腕部に格納されていた装甲切断ナイフを弾丸のように放った!
しかし!
「ニァワン!トンコツのようにトロいナイフ攻撃だガウ!パクリのゴリゴリ!ブルブル!ワン!」
なんとランドッグランは高速のナイフを顎でがっちり受け止め、バリバリとかみくだいてしまったのだ!さすがランドッグラン!犬のように強力なメカだ!
今度はランドッグランの反撃だ!口を大きく開けて、
「ワオヴォーン!排気筒と熱エネルギーのパージワンワン!ドッグブレス!ガー!」
灼熱の炎を吐きだし始めたぞ!しかもこの攻撃、エンジンの熱と排気圧による火炎だから燃費効率がいい!とってもクリーンなアタックなのだ!やはりこれからのメカは環境にサステイナブルじゃなきゃ!ブルブル!
「ギャー!ブルソニック!大丈夫か!」
避けきれずに燃え尽きてしまったブルソニックの車体フレームの残骸を抱きしめて、ハヤテくんは動かなくなった。車体フレームに残っていた熱によって、ハヤテくんの体はブルソニックの遺体に溶解してくっついてしまったのだ。
「ブルソニック、俺たち今、ひとつになったね……」
「ああ、ハヤテ……」
どこからか、ブルソニックの返事が聞こえた気がした。
《了》