11Gods
僕は救いの無い世界に憤りを感じた。
強い義憤に駆られた。義憤?いや、そんな高尚なものではない。
単純明快で、恐ろしいほど強大な怒り。
怒りは肉体を駆け巡るに留まらず、僕を具体的かつ逸脱した行動に駆り立てた。
それは禁じられていた儀式。
檻の向こう側を望む禁忌。
――その儀式は成功した。
僕の怒りは頂点に達した。世界が悲鳴を上げるほどの怒りだ。
肉体が引き裂かれる怒りだ。生命を脅かす怒りだ。
怒りの炎は舞い上がり、怒りの雷雨が天轟き、怒りの鉄槌が精神を撃った。
僕は怒神を呼んだのだ。怒りの使役、怒神の使役を望んだ。
――そう、儀式は成功した。
その日、僕の感情に、怒神《ヴァルギオストス》は宿った。