ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

恋よ通貨を駆逐せよ

 なぜこんなにも我が恋は苦しいものなのか。それは恋の対象が人間でないからである。比類無き我が思い姫は人間ではなく商品である。商品に接するには金を払ってこれを購わなくてはいけない。拙僧はそうした儀式を好ましく思わない。むしろ恋の大きな障害であると感じる。恋は忍び恋こそ良けれ、しかして彼女が商品である以上、金満家によってまず第一に食い物にされる運命。地中深く住む冥府の土竜よりも猛々しく、天貫く怒りの槍を投じたかのヴァルギオストスよりも雄々しい我が思い、激烈なるこの感情の大波も、抗い難き強壮なる唯一神の与えたもうた、各々の天命という生まれの配置の御業を否定するわけにはいきますまい。

 ああ言うてくれるな真実を。あまりに非情な世の中に拙僧が絶望しないように。望みの薄い願望においてどん欲ならざる人々の群に参加することを余儀なくされぬように。この創世から終末までの一瞬間に発生した現象がどのような意志を伴うのかを知らず、ただ呻く手負いのアカイア人の如く、百牛の贄を手配してはくれないか女らよ。

 肉に飢えたる戦士のごと、たんぱく質を肉体の壮麗に変換する業に魅せられる乙女たちよ聞け、君たちの主人性についてはもう一言する必要さえ認められまい。拙僧はただ賛嘆する、君たちの狡猾と忍耐、そしてその権力の維持に関するあらゆる技術の卓越について。決して水牛のような脚遅き男どもには不可能な、冥府をさえ浄化する陽光の笑みを絶やしたもうな。そして使役したまえよ拙僧たち、哀れな奴隷階級のものども、力を奮って投槍を疾走さす程度にしか役だたない巨人らを。

 この感情に身を任せては、富も名誉も破滅するという際に、果たして諸君等に賭事をする勇気があるのであろうか。諸君等の主人である貴婦人の階級は、それを可能とするというのだから驚き給えよ。冷静さと不敬虔さはまったく違うものであるということを理解し給えよ。殺すことにかけては一流であっても、生かすことにかけてはずぶの素人であるという君のようなものも、ただ膝を地について両手を天に放ちおれ。クロノスの子に幸あらんことを。