ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

アジア総督チェヨ・ネムン

「アジア統一万歳!歴史的瞬間、諸君らとこの時を共有できたことを私は激烈なる感動で涙しつつ喜ぼう!」

2098年、アジアは統一された。
地球上には、2099年11月現在4つの勢力が鎬を削りあっている。

1.EU
2.米露同盟
3.アジア
4.第4世界

もはや21世紀末において、旧来の総力戦形式の戦争は古い。
今はネオ・サムライズム(再興武士道主義)こそが先進国間の政治・経済・社会の根底に流れるスタンダードな思想とされている。
そのため、諸紛争はブショー(武装代議士)による一騎打ちによって決着がつく。
実際、それがもっとも効率の良いソリューションなのだ。
ブショーたちの仕事の専門性は限界まで高められ、もはや国民皆兵などといった旧世紀の制度は通用しない。
ブショー一人の戦闘力は、かつて(21世紀初頭)の先進国一国分の軍事力に相当する。

――世はまさに、大戦国時代。


【アジア】

■刀野 武(トウノ タケシ)Age:23 Japanese

極東諸島地区(旧日本国及びその周辺地域)選出の若き武装代議士。
名門旧家の出身で、幼い時より文武両道のエリート街道を踏破してきた。
政治思想は国家主義、自民族中心主義的。政策は富裕層寄り。経済界に強いパイプを持つ。宗教は仏教(禅)。
論戦(イクサ)は接近戦・乱戦を得意とする。スピードに優れ、短期決戦志向。
武器は日本刀タイプのものを好んで使用するが、最近は若手代議士の集う重火器の研究会に積極的に参加しているようだ。



2076年 誕生
2094年 極東基本学校 主席卒業
同年  極東最終学校 入学
現在  極東最終学校在学中



使用武器(使用頻度順)
・一八式制空日本刀
・一六式陸戦日本刀
・極東鬼神手甲Ⅱ
・67-XE耐熱・耐圧ダブルスプリング刀

...etc



■チェヨ・ネムン Age:63 Korean



アジア東地区選出の大物代議士。初代アジア総督。
旧韓国ソウルの中産階級の生まれだが、学業に特別優れていたため最高学校時代EUに国費留学。
政治学者を志すも、潜在的な身体のポテンシャルを政府の人材発掘委員会に認められ、政治家に志望変更。
チベット地区での中・長期的指導層向け教育プログラムの全過程を修了し、38歳の時出馬、晴れて代議士に。
政治思想は社会民主主義的。福祉国家的行政の確立に尽力している。
自身の経歴も関係してか、中産階級の増大と公的教育の充実に特別の関心を持つ。
宗教は統一教会
論戦(イクサ)においては接近戦を得意とし、筋の良い教科書通りの戦い方を崩さない。



2089年 東北最終学校名誉教授就任
2098年 アジア総督就任
現在  アジア総督



使用武器
・D-1-E 多段変形武装パック《アウグストゥス》




■ティガラム・ハーン・山岡 Age:37 Mongolian



北部穀倉地帯選出の若手代議士。7つの博士号を持ち、14の言語を操るインテリ中のインテリ。
比較的貧しい北部の出身だが、アジア圏統一選抜試験の優良な結果のため中央最終学校に奨学生として飛び級入学。
学問に関して右に出るものはいないが、論戦(イクサ)となると(世界の代議士の平均から見て)特別優れた資質を持っているわけではない。
政治思想はエリート民主主義的。家父長的指導者という印象を国民からもたれている。宗教は先祖崇拝(儒教)。
論戦(イクサ)よりも委員会での積極的活動に自身の政治家としての役割を見出している。
戦型は遠距離先制攻撃型。自費で自身が開発した武器をよく用いることで知られる。彼の開発した武器の熱狂的ファンは俗に「アサショーリュー」と呼ばれる。
趣味はサッカー。



2082年 アジア圏下院総選挙初当選
2086年 中央最終学校学長就任



使用武器
・XX-7U 精神感知式誘導グラビティ砲《テムジン》
・XX-7I 精神感知式誘導グラビティ砲(スタンド・アローン方式)《チャガタイ》
・XX-8Ap カオス・セオリー型高精度精神感知式誘導グラビティ砲《カラ=ハン》




【EU】




■ヴォルフガング・トモヒロ・ブラウンシュヴァイク Age:26 German


ベルリン選出の大物ルーキー代議士。日本人の血が1/4混じるクォーターだが、美しいゲルマン青年的容姿に女性ファンが多い。
旧貴族出身で、生まれたときから上流社交界の中で育つ。そのためにEUのあらゆる権力者との強いコネクションを持つ。
趣味はピアノ。バイロイトの音楽祭には20年間連続で通い続けている。
ゲルマン最終学校卒業後、音楽学術院に学びつつ代議士の道を選んだ。
政治思想は国粋主義的。ひそかに王侯・貴族階級の再興を図っているのではないかと、下層大衆からは反発の目で見られることも少なくない。
宗教はプロテスタント。ルターのドイツ語翻訳聖書をアンティークとしてコレクションしている。
最近郊外にハーレムを設けたというスキャンダルがあった。しかしむしろハーレムに参加したいという若い女性が多く現れブームになっている。
論戦(イクサ)時はその甘いマスクを緊張の色がクールに彩る。遠距離一点攻撃型。たまに行う近距離戦の勝率は高い。



2091年 ゲルマン最終学校入学
2095年 ゲルマン最終学校卒業
同年  ゲルマン音楽学術院入学
現在  ゲルマン音楽学術院在学中




使用武器(ファンの評価順)
GC-07 ガイスト・コントロール式狙撃ライフル
・プリミティヴ・レイピア
・一七式制空日本刀
・JO-33 マニュアル・コントロール式狙撃ライフル
・EV-17eR ブリックヴィンケル・コントロール式ライフル



■ギヨーム・ロー Age:115 French



世界各地の冷厳な山脈、灼熱の大地、怒涛の荒波に修行した古強者。
騎士道に生まれ、騎士道に生きる。
政治思想はネオ・リベラリズム。あらゆる競争に生き抜いてきた騎士の哲学が彼の政治観を強く裏づけている。
宗教はカトリック
老いてもなお恋多き人としてその筋では有名。
その憎めない人柄から「世紀末のドン・キホーテ」と呼ばれている。
しかし実力は本物である。インドの山奥に潜んでいたカルト的テロ集団を素手で壊滅せしめた若かれし頃の武勇伝は、多数の目撃者の証言、そして決定的なことに、監視カメラに残されていた映像によって今後も後世に伝えられ続けるだろう。
彼の地元の政治基盤は磐石。その後援会が国内もっとも戦闘的な集団であることは有名で、彼が落選したことは彼の政界入り以来一度も無い。



経歴不詳
現在 最古参武装代議士記録更新中




使用武器
・ZeXカリバー




【米露同盟】




■ジョン・フォスター Age:42 American



若き富裕な農場経営者にして、百戦錬磨のアメリカン・ブショー(武装代議士)。
祖父の代から受け継いだ広大な土地から、4児を養うための財を産出する。
典型的南部アメリカ人。政治思想は保守主義キリスト教原理主義
宗教はプロテスタント。かなり熱心な信者で、休日は妻と共に教会で若いカップル向けの結婚相談ボランティアをしている。
WASP以外の人権を軽んじる向きがあり、たびたび繰り出される過激発言(失言)はマスコミの格好の餌である。
ただ、この種の政治家に特有の、地元の支持母体の強さは祖父の代から決して色あせることが無い。
論戦(イクサ)時は様々な種類のライフルを用いる銃の名手として目の色を変えて獅子奮迅の活躍を見せる。
彼の背後には軍産複合体スポンサーの影がちらつく。彼の用いる武器はほとんどが軍需産業のトップ技術を駆使した最新のものなのである。



2084年 埼玉オリンピックにて3つの射撃種目で金メダル2つ、銅メダル1つ獲得
現在  全米射撃協会特別名誉会長



使用武器(最新のものから)
・WP-665PRO ショット・ライフル
・CV-909EX サブ・マシンガン
・WP-665 ショット・ライフル
・WP-664SP ショット・ライフル(特別武装議会仕様)
・P-20045 パトリオット・アトミック・ミサイル




アシモフ・ルゴルフスキー Age:49 Russian



シベリアの大地から大雪山を溶解せしめるほどの政治的野心を燃やし登場した、本格派武装代議士。
瞑想的・哲学的な精神土壌を持つロシアの地から、米露同盟の強固な結合という総意によって武装選挙で選出された。
政治思想は無政府主義的。政府という制度を破棄し、市民たちの生存に必要な最低限の契約・同盟関係のみを理想の社会的関係とする思想を掲げる。
そのため、米露同盟の強化を謳ってはいるものの、彼の最終的な目的はそういった国家をベースとしたあらゆる制度の廃止にある。
無政府主義政党・及び国策兵器産業界の援助のために、論戦(イクサ)においてはロシア製最新兵器を用いて世界を震撼させる。
プライベートにおいては、笑顔の似合う愛妻家であり、繊細な文学者。無宗教
彼の党首演説(ナノリ)におけるネオ・ナチュラリズム的散文表現は一流の芸術の域に達している。



2090年 ウラジヴォストーク最終学校文学教授就任
2097年 ノーベル文学賞受賞
現在  ロシア・人文アカデミー理事会員




使用武器(世界の反響の大きかった順)
・NEOAK-04 バトル・マシンガン
・YPAAA-J7 スプートニク109号
・AT-2 サンボ・ツール
・NEOAK-002 アサルト・マシンガン




【第4世界】




■ジェネネ・ポロンクアータス・ミフトバーエン Age:29 Indian



インド高級官僚出身の代議士。その地位は金と名誉の流通経路をコントロールすることによって手に入れたものである。
彼について世界はあまり注目していないが、いくつか特筆すべき事項があるのでここで取り上げた次第である。
まず彼には、自国の報道機関を牛耳るほどの権力が集中している。すなわち、彼の国の自浄作用は彼が今の地位に居座り続ける限り皆無に等しい。
具体的に彼には、諸先進国の極秘諜報機関からの情報によると、児童ポルノ製造、販売、児童買春の斡旋、そして自身による児童への性的人権侵害の疑いがかけられているが、インドの報道機関では一切そのことに触れられない。
インドのメディアは彼を不必要なまでに賞賛し、支持率を維持するような翼賛機関に成り下がっている。
一部に今世紀最後の悪党とまで呼ばれる所以である。
政治思想は功利主義。彼の行政の恣意的、強権的コントロールに関しては、利益誘導、格差拡大をもたらしているという否定的評価が一般的だ。
また、彼自身の哲学は、エピクロスの曲解による悪しき快楽主義に染まっている。
論戦(イクサ)においては旧式の輸入武器を多数用いて巧みに立ち回る。
性の商人として貯めに貯めこんだ資金のおかげで、第4世界の武装代議士にありがちな火力不足を免れている。




経歴不詳
現在 第5インド第一栄誉国民、インド大統領第一補佐




使用武器(使用頻度順)
・LP-3B ウェポン・パッケージ3
・LP-2G ウェポン・パッケージ2最終モデル
・SS-P4 ファイア・アーム
・TY-10DF プロテクト・パッケージ
・QI-09 視線感知式クラスタ




■ボボ・トヒソイヌ Age:61 African



全アフリカ連邦国前フィンランド大使。大使の仕事は長年可愛がってきた女弟子に譲って、政界入りした。
アフリカ人にとってエリートコースのスタンダードである、EU圏国費留学を経験している。
経験と人脈、教養、語学力を活かし、外交分野で指導的ポジションを担う。
EUとの友好関係を保ちつつ他勢力との中立を守る、非常にセンシティヴなこの仕事に携われるのは、おそらくアフリカ全土を探しても彼以外いないだろう。
政治思想は社会主義的。先進国による途上国への搾取という図式を打破するのが彼の生涯をかけた長期的な政治目標である。
宗教は自然信仰(アニミズム)。第4世界における少数民族の伝統文化、信仰は、彼の設立したNPOによって保護されている。
実は外交畑に足を踏み入れる以前は、開業医であった。彼をはじめアフリカの良心的富裕層をスポンサーとする、彼の名を冠したNGOは、世界中の貧困層に無償で医療を施す試みを行っている。
論戦(イクサ)ではヨーロッパ式の格調高い洗練された技術を披露する。
他国の武装代議士に比べて、用意できる武器は多少貧弱だが、彼の卓越した技能はまったく遅れを取らない。



経歴



2056年 アングロサクソン最終学校国費留学
2062年 アングロサクソン最終学校卒業
2066年 医院開業
2078年 アフリカ政府人材登用機構よりフィンランド大使に任命
2095年 フィンランド大使退職、出馬、当選
現在  全アフリカ連邦国外務大臣




使用武器
・P-8 可変ピストル
・EDE-2 対空携帯反動砲
・B-O3 アサルト・ライフル
・吸収磁力グルカ・ナイフ