ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

少女趣味

少女趣味の魅力について激情を隠しえない。
繊細にして豪胆、冷酷にして甘美なる神聖な世界観は、あらゆる思想と言語を包括し、人間の母性と処女性への限りなくまたアンビバレンツな欲求を怪しく誘惑、魅了するのである。
私は歴史の先端を生きる多くの文化人と交流を持っているが、少女趣味という麻薬に毒され、刹那的な幸福に目がくらんだ人間もその中に多く見てきた。
官能は曲線美だが、少女趣味は装飾美だ。
ほとんど暴力的な色彩と外観を是とし、純潔と包含を相互に獲得しようとする最も危険な試みは、天岩戸のタブーの如く人間のみならず人間の彼岸にある存在でさえも惑わしてしまう。
私は職業上神的体験をすることが間々あるが、多神教における神であれば間違いなく少女趣味との邂逅は一つの新しい神話を産むことになると断言できる。
一神教においては、その神が少女趣味の危険性をもっとも優先的に懸念し、征服し戯画化しようと試みるか、もしくは禁忌の一つに数え人々を近づけないように守護しようとするのであろうと思う。
宗教が曲解され、唯物論がお天道様の下を闊歩する近現代では、少女趣味から人を守る文化的防波堤はもちろんのこと、少女趣味に関する教訓の積み重ねであるいわゆる歴史そのものでさえも希釈されほとんど消滅させられてしまっているため、非常に危険でありかつ面白い化学反応が期待できる。
人は滅びるであろう。しかし滅びには究極の美が宿るであろう。その時に生命の意味も解明されるであろう。すなわち、最後の美の一瞬である。