God-邂逅2
接近の勢いに乗せつつ男は拳を横薙ぎに繰り出した。《パストパステラ》の撓る腕と広い掌が、少年に襲い掛かる。
咄嗟に少年は《ヴァルギオストス》の翼を前に折り体を包んで盾とし、その攻撃を防いだが、威力を殺しきれずにそのまま
後方に吹き飛ばされた。
すかさず男は鋭い跳躍で少年に追撃を加えようと接近する。
少年が吹き飛ばされて地面に接触する前に、男は追いついた。
張り手の追撃。《パストパステラ》の厚い掌は、目標に並々ならぬ衝撃を与える。
少年は地に叩きつけられた。そのまま鞠のように跳ね上がり、再び地に臥せた。
男は容赦を見せない。追撃はすぐになされた。繰り返す弾丸の前傾跳躍。
しかし少年は何とか横に飛んだ。直線の接近をすんでのところで避けた。
少年はいたく傷ついていたため、退却を選ぶのは当然のことであった。
次なる接近を許す前に、全力で後退。
「――だが、怒神にはこんなこともできる」
男は不敵な笑みの後、顔から《パストパステラ》の頭部の怒気を放った。それは蛙の顔のような形をしていた。
《パストパステラ》の頭部は大きく口を開けた。
それと同時に、少年は男の元へ引き戻されていた。
《パストパステラ》の長い舌が、少年を捕まえたのだ。
間髪をいれずに男は掌底の一撃を加える。
少年はふわっと上昇し、うつ伏せに落ちた。動かなくなった。