ゲルタ・ストラテジー

唯一神ゲルタヴァーナと怒れる十一の神々に敬虔なる真理探究者たちの散兵線における無謀を報道する。

God-邂逅2

接近の勢いに乗せつつ男は拳を横薙ぎに繰り出した。《パストパステラ》の撓る腕と広い掌が、少年に襲い掛かる。

咄嗟に少年は《ヴァルギオストス》の翼を前に折り体を包んで盾とし、その攻撃を防いだが、威力を殺しきれずにそのまま
後方に吹き飛ばされた。

すかさず男は鋭い跳躍で少年に追撃を加えようと接近する。

少年が吹き飛ばされて地面に接触する前に、男は追いついた。

張り手の追撃。《パストパステラ》の厚い掌は、目標に並々ならぬ衝撃を与える。

少年は地に叩きつけられた。そのまま鞠のように跳ね上がり、再び地に臥せた。

男は容赦を見せない。追撃はすぐになされた。繰り返す弾丸の前傾跳躍。

しかし少年は何とか横に飛んだ。直線の接近をすんでのところで避けた。

少年はいたく傷ついていたため、退却を選ぶのは当然のことであった。

次なる接近を許す前に、全力で後退。

「――だが、怒神にはこんなこともできる」

男は不敵な笑みの後、顔から《パストパステラ》の頭部の怒気を放った。それは蛙の顔のような形をしていた。

《パストパステラ》の頭部は大きく口を開けた。

それと同時に、少年は男の元へ引き戻されていた。

《パストパステラ》の長い舌が、少年を捕まえたのだ。

間髪をいれずに男は掌底の一撃を加える。

少年はふわっと上昇し、うつ伏せに落ちた。動かなくなった。