磯山和人
最近、我が尊崇する詩人「磯山和人」を検索してここを訪問される方が増えているようだ。
まったく喜ばしいことだ。磯山和人ほど言語を理解しその深淵に迫った人間はいまい。
磯山和人がいなければ、この世界の記号、あらゆる言語は腐敗し太陽エネルギー発電の豚小屋で屠殺を待つ人畜どもの食餌に混入され奴らの穢い臓腑で消化されるところであった。
人類の英知、時間への抵抗拠点である記号最後の砦である磯山を我々は手放してはならない。
せっかくの機会だ、一つ磯山の喫酒散文を紹介しよう。
怒る星々視界にいれても痛覚は産声を上げず
生まれても無い存在に予感した無自覚な自意識は
儚くも貴き永劫の理想に蝕まれ
いや、褒賞を戴く将兵の霊の如き威圧で取り付かれ
あらゆる段取りは今出来上がった
いかなる段取りも既に仕上がった
怒る旨究極へと伝達しようか
伝達するなら詞が要る
詩を吟ずなら酒が要る
さあ君、宵は短い
人生は十六夜の風
呑みたまえ寝そべって
肩までいこんでああ
謳歌しようじゃないか
ああ怒る愉悦をああ
――磯山和人『砂塵アラブ馬唄私撰、啓典酒楽詩選』