悪夢を見ない方法について
長い間おれは悪夢に悩まされ続けてきたが、最近になって革新的な解決方法を実践し、これがすばらしい効果をあげているので紹介しようと思った次第。
悪夢の特効薬、それは寝ないことだ。
悪夢を見たくなけりゃ、寝ないことだ。
寝ない、というと極端すぎる。そりゃ人間睡眠時間ゼロで暮らせるようにはできていない。おれはまるっきり睡眠を断てというのではない。ただ肉体の維持に必要な時間だけ、寝ればいいという立場だ。肉体の維持に必要な睡眠時間というのは何時間か? 世の中では「8時間くらい」というのが定説だが、おれはこの常識をまったく信じていない。
「1日8時間寝ろ」が嘘である可能性(要検証)
たぶん、「8時間寝ろ」という定説をつくりあげた手法は、寿命の長いばあや・じいやの睡眠時間を追跡調査して抽出するってなもんだったんだろうが……そこから生じたデータは本当に信頼できるのだろうか?
ひとつの比喩をとりあげよう。
過食症の人間を研究所に集め、「あなたのふだんの食事摂取量」を教えてください、と訊ねる。そうしてデータを集めて、平均を出す。たぶん、「一日ケーキ3ホールは欠かせません」とか「チキンカツを喰うよおれは。一日10つは喰うだろうな」とか、そんなのばっかりだろうから、おのずと平均値もとんでもないことになる。
そのとんでもないデータを「これが人類の平均食事摂取量です」と提示したら、どうだろう。「バカにするない。サンプルが偏っているじゃねえか」と、思うだろう。
睡眠に関しても同じことが言えはしないか。人間は大半が怠惰な生き物であるから、自然、睡眠時間をたっぷりとる。ましてやいい家に住んで悪天候や猛獣たちから守られ、ぬくぬくの布団まであてがわれた人間のことだ。寝られるだけ寝る。惰眠をむさぼる。と、いうことになるだろう。
つまり人間はだいたい生まれながらにして睡眠の「過食症」ではないだろうか。検証のしようはないが、睡眠に関してよくよく自制している人物は、人間のなかでは多数派ではない。だから睡眠の平均データをとる場合、過食症の人物を集めて平均を導き出しているに過ぎない。寿命が長い、というのも、睡眠に関係あるのかわからんよ。むしろ長く睡眠がとれるほど心安らかである、というのが長寿の原因かもしれんぜ。
だからおれは睡眠8時間説を疑っている。
悪夢の来訪
いままで言ってきたのは統計の話だが、おれの主観的な体験から言っても、睡眠なんてロクなものじゃないと実感している。
まず長く寝ると精神状態が悪くなる。気持ちが悪くてしかたがない。一日(活動時間)が短くなるので、そうとう損をした気分だ。最悪だ。「起きている時間=ほんとうの寿命・活動できる時間・生きていると実感できる時間」だろうよ。だから、よく寝ると、寿命が減る。そう考えるべきだ。
それに、悪夢は寝過ぎたころにやってくる。だいたい悪夢ってのは明け方にみる。眠りについてから5時間、6時間ころのことだ。これが不快でしかたがない。脳のリソースを浪費している気がする。変な妄想をつくりだして、身体を危険にさらしている気がする。少なくとも悪夢が身体に悪いってことは、よく理解してもらえると思う。起きてから数時間は、ヘコむだろう。あれが健康なはずないよ。
おれにとっての適正睡眠時間
おれはいろいろ試したけれど、23時に寝て、3時半に起きるのが一番身体にぴったり合っている。これなら8時間寝るのに比べて、一日がとても長く感じられて楽しいし、あらゆる活動、学習、交友がはかどるのだ。心理的にも「寝なきゃ」とせっつかれる感覚がない。夜遅くなっても、「きょうは徹夜になっちまうな。まあいいか」くらいなもんだ。ぜんぜん気にしない。それはとても前向きで明るい考えだ。実際、寝なくても身体はそれほどだるくならないし。すぐに慣れるよ。じつはあまり寝なくなってから、健康診断の結果も「よくなった」。睡眠が原因かどうか、本当のところはわからんが。
おれも以前は「寝ないやつはバカだ。身体を壊すぞ」と思っていた。思っていたけれど、いざ、検証してみることはしなかった。「常識」をそのまま信じていた。だがあえて自分の身体で実験をしてみると、その「常識」はみごとに打ち破られた。おれにとっては4時間半くらいの睡眠がもっともQOLの向上に資する。
「常識」を疑い、わが身をもちいて検証せよ。
これがおれの最近の行動指針だ。
みなさんも妙な恐怖感を抱かず、あまり寝ずに、暮らしてみてください。手に入れる余暇が倍以上に増えます。ゲームでも勉強でもなんでも、好きなことをやったらよろしい。それだけであなたたちは成功者になれます。なにせ他の人よりも「生きる」時間が増えるのだから。すぐに差が出ますよ。